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敷金奪還マニュアル

実際にどうやって敷金を返還してもらうのか?現場のノウハウを公開します。

経過年数とは?

経過年数を考慮した原状回復工事費用の負担が公平です。

 部屋を借りている側に落ち度があり、賃借人の費用負担が発生する場合には交換する物の残存価値を考慮する必要があります。

 例えば車、新車で買っても日々価値は下がり、事故などがあっても保険金を請求しても「今の価値」しか補償してくれないのと同じ事です。

 室内のクロスであっても張替えた瞬間から価値の減価が進みます。

 例え過失や長年の居住によって多少の汚れが着いてしまっても、今現在の残存価値をもって弁償(交換)するのが公平であり、自然な考え方です。

 具体的には、クロスやカーペット、クッションフロア、などです。

 交換後6年経過で残存価値は1円(ほとんど価値無し)になるような直線を想定し、負担割合を算定する。とされております。
 (国土交通省ガイドライン)

耐用年数 品目
5年 流し台
6年 エアコン・ルームクーラー・ストーブ・電気冷蔵庫・ガスレンジ・インターホン
8年 主として金属製以外の家具(書棚・たんす・戸棚・茶ダンス)
15年 便器・洗面台等の給排水・衛生設備・主として金属製の器具・備品
当該建物の耐用年数が適用されるもの ユニットバス・浴槽・下駄箱(建物に固着して一体不可分なもの)

 

 

諸経費とは?

とにかく何でも負担させようとする貸主

 クロス(壁紙)が少し破れているから・汚れているからと「巾木の交換代」や「残材の処分費」「諸経費」と次々に計上してくる貸主がいますが、借主が負担すべきは故意・過失によって損傷させた箇所の修繕費用です。
 この請求は妥当なんだろうか?と迷った場合にはお気軽にご相談下さい。

フローリングの傷

フローリングの傷で高額な請求

 当事務所にご相談いただく内容の中で「フローリングの張替え費用として敷金額を超える請求をされた、それ以外にもクリーニング費用や畳の表替え費用を請求されて、どうしたらいいのか・・」とご相談をいただく事が多数ございます。

 床の一部にキャスター付きの椅子による傷等があり、その他の部分は日常使用による若干の(避けられない程度の)すり傷があるという状況で床の全面張替えを全額請求されるというケースがほとんどです。

 フローリングは部分張替えが可能であり、原則として平米単位での費用負担となります。

 平成23年8月の国土交通省のガイドライン再改定により、以下のような変更もなされております。

 経過年数は考慮しない。ただし、フローリング全体にわたっての毀損によりフローリング床全体を張り替えた場合は、当該建物

の耐用年数(参考資料の資料8参照)で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。

 

敷金診断士

敷金診断士とは?

賃貸目的物の原状回復費用の算定を行う専門家として、特定非営利活動法人日本住宅性能検査協会の実施する試験に合格し、所定の講習を経て登録を受けた者です。
公正・公平な第三者の視点で、賃貸物件の適正な原状回復費の査定を行います。
無料電話相談から必要な場合は現地に伺い、公平・公正な第三者の立場で原状回復費用の査定を行います。

当事務所では敷金診断士としての活動も行っております、岐阜県内はもちろん愛知県・長野県・三重県などの方もお気軽にご相談下さい。 (続きを読む…)

トラブルを避ける為には

退去する時のトラブルを避けるには

退去時には勿論ですが、入居時にも賃貸人・賃借人双方が立会い、部屋のチェックリストを作成しておく事が有効です。

 退去する時の修繕費用等をめぐってトラブルになる原因の最たるものとして、入居時にあった損耗・損傷であるのか?などの事実関係がはっきりしないことが大きな原因です。
 そのような事を防ぐ為にもチェックリストを作成するとともに、写真を撮るなどして、物件の状況を確認しておく事は、トラブルを回避する為に有効な方法です。

原状回復とめぐるトラブルとガイドライン

ガイドライン(平成23年8月に再改定されました)

 ガイドラインの考え方

 建物の価値は、居住の有無にかかわらず、時間の経過により減少するものであることや物件が契約により定められた使用方法に従い、社会通念上通常の使用方法により使用していればそうなってであろう状態であれば、使用開始時の状態よりも悪くなっていたとしてもそのまま賃貸人に返還すれば良いとすることが学説・判例等の考え方であることから、原状回復は、賃借人が借りた当事の状態に戻すものではないということを明確にしました。

原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しました。

 

 

結露によるカビ

結露によるカビ

 「クロス(壁紙)にカビがついている」「クロスがめくれてきている」などと全面張替えを請求されているというケースが多数存在します。
 
 結露の要因は、主に建物の構造上の問題である事が多いと考えられます。
 
 当事務所にいただいた相談の中で以下のようなものがありました。

 「自分(相談者様)は凄くキレイ好きで、適当に換気も行っているし、頻繁に室内に洗濯を干したりもしていない、注意して生活しても押入れ内や壁にカビが発生してしまう、実家(一軒家)にいた時と生活の仕方を特に変えてはいないのに、アパートではカビがどうしてもでてくる」

 賃貸人が建物の構造上の問題という認識が少しでもあれば良いですが、当方の感覚としては99%「賃借人が適切な換気を怠ったから全面張替え」と請求してきます。

 参考判例

 結露は、一般に建物の構造によって発生の基本的条件が与えられるので、特段の事情がない限り、損害賠償特約には結露による汚損は含まれない 名古屋地裁平成2年10月19日

 頻繁に洗濯物を室内干ししたり、冬に換気をまったくせず暖房器具を連続使用して、結露を発生させ、それを放置した事によってカビが発生したような場合には、賃借人として負担義務が発生(クロス張替え)が発生するものと考えられます

タバコのヤニ

タバコのヤニ

 タバコのヤニによるクロスの汚れに関しては非常に相談が多いです。
 喫煙に関しては特約がなければ当然許容されていると考えられます。(喫煙する自由がありますし、アパートの部屋を個人空間として借りて(お金を払って)いるわけですから)

 タバコを吸っていたからと問答無用に全部屋(トイレや洗面・玄関部までも)の張替えを請求され非常に困っているという方が多数見えます、一人で悩まずに是非ご相談下さい。

各種判例

原状回復特約

頻繁に目にする「原状回復特約」ですが、以下のような考え方が示されております。

  1. 賃借人が賃貸借契約の締結にあたって、明渡し時に負担する原状回復費用を予想する事は困難である
  2. 賃借人は、賃貸人側で作成した定型的な賃貸借契約書の契約条項の変更を求めるような交渉力を有していない事
  3. 賃貸人は、将来の自然損耗等の原状回復費を予測して賃料額を決定する方法が可能で、賃借人はこの点が高いか安いかを判断資料となる

 本件原状回復特約は消費者の利益を一方的に害するものと認定し、消費者契約法第10条により無効とした京都地裁平成15年6月30日

  1. 賃貸人側で作成する復元基準表は、原状回復の要否の判断を専ら賃貸人に委ねている点で客観性を欠き、公平の観点から均衡を失する
  2. 入居申込み者は、賃貸人側で作成した定型的な賃貸借契約書の契約条項の変更を求めるような交渉力を有していない
  3. 賃貸人は、将来の自然損耗等の原状回復費用等を予測して賃料額を決定する方法を採用する事が可能である

「賃貸借契約で予定されている通常の利用により賃借目的物の値が低下した場合は、賃貸借の本来の対価というべきものであって、その減価を賃料以外の方法で賃借人に負担させることはできない」とし、本件原状回復特約が、民法の原則以上に賃借人の目的物返還義務を加重するものと認定し、消費者契約法第10条により無効とした京都地裁平成16年6月11日

特定優良賃貸住宅の原状回復特約

本件特約の成立は、賃借人がその趣旨を十分に理解し、自由な意思に基づいてこれに同意したことが積極的に認定されない限り、安易にこれを認めるべきではない。
形式的手続きの履践のみをもって賃借人が本件特約の趣旨を理解し、自由な意思に基づいてこれに同意したと認めることはできないとして、本件特約の成立を認めなかった。 大阪高裁平成15年11月21日

退去立会確認書にサインをしてしまった

 そもそも「通常の使用」を超える損耗でない以上、原状回復費用の支払い債務が発生していないのであるから、署名押印したからといって、特段の事情がない以上、そのため新たに原状回復費用の支払い債務が発生することにはならない。 大阪地裁 平成7年(レ)第28号

「賃借人が修繕義務を負担する」とする特約

 賃借人が修繕義務を負担するという特約は、単に賃貸人の修繕義務を免除する意味しか有せず、賃借人に積極的に修繕義務を課した趣旨ではない、とした 最高裁判所 昭和43年1月25日

定額補修分担金条項

 月額賃料6万3,000円、共益費月額6,000円、更新料家賃1カ月分、定額補修分担金16万円という契約の事例において、裁判所は以下のように判断しました。
 定額補修分担金特約は、民法の任意規定の適用による場合に比して賃借人の義務を加重するものというべきで、信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するもので、消費者契約法10条に該当し、無効である。
 (京都地裁平成20年4月30日)

 分担金額について、賃貸人側は通常修繕費用にどの程度の費用を要するのか情報を持ち、借りる側は情報が無いのが一般的です。
 多くの事例では貸す側だけは100%(に近い)損をしないような額を設定しているケースが多いようです。
 「この部屋の」クロスを全部替えて、ルームクリーニングをして、エアコンの洗浄もして、まだ十分の余裕があるような額を定額として設定しておき、床等の修繕があっても賄えるようになっているのでしょう。

 クロスを全部替える必要が発生する事は、それほどないでしょう。(今回は居室部分は替えるとか、玄関通路部分は替えるとか)

 床などは更に張替えを行う確率は低いでしょう。(部分補修はありかと思いますが)

  そのような場合には貸す側が丸儲けという内容ですから、まさに情報や知識を利用して経済的な負担を借りる側だけに負担させようという内容であると思います。

 他にも12万円の定額補修分担金条項を無効とした判例(大阪高裁平成22年)
    25万円の定額補修分担金条項を無効とした判例(大阪高裁平成22年)

経過年数を考慮して負担金額を決定すべき

 賃借人は特別損耗分のみを補修すれば足りるものであるが、施工技術上、賃貸借契約締結時の状態から通常損耗分を差し引いた状態までの補修にとどめる事が現実的には困難ないし不可能であるため、通常損耗分を含めた原状回復まで行っているものである。したがってこのような補修工事を行った賃借人としては、工事後、有益費償還請求権を根拠に賃貸人に通常損耗に相当する補修金額を請求できるものと解されるから、契約終了時に賃借人自ら補修工事を実施しない時は、契約締結時の状態から通常損耗分を差し引いた状態まで補修すべき費用相当額を賃貸人に賠償すれば足りると解するのが相当であり、「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」の見解は上記と同旨の見解に立脚するものである。
(大阪高等裁判所判決平成21年6月12日)

退去時の注意点

国土交通省のガイドラインでは以下のように定義されています

「クリーニング費用に関しては借り主が通常の清掃を怠った場合には借り主が負担する」では通常の清掃とはどの程度なのでしょうか?ガイドラインではゴミ撤去・拭き掃除・掃き掃除・水回り清掃・換気扇やレンジ回りの油汚れ除去。とあります。
 退去される時はその点を念頭においてキレイに掃除をしましょう。そして、後日汚かったと言われないよう写真をとっておきましょう(日付入り)

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